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夜が支配する公園に、つらつらと話をするニルの声が静かに響いていたが、話はそれで終わりらしく、再び静寂が訪れた。
「……それから、死神には?」
静寂より数秒の後、それまで黙って話を聞いていたハイネが口を開く。
「………学園に…入学して……ちょっとした…時に…一度…だけ」
「その時にはどんな会話を?」
「向こうからの…声だけ…だったんだけど…『原初と変革、終演の時は近い。キミは、近い将来選択を迫られるだろう』って」
その言葉に、初めてハイネの瞳に僅かな動揺が浮かぶ。
「……そうか…そういうこと、か」
「……ハイネくん…?」
何時ものハイネよりも幾分低いトーンで発せられた声にニルは困惑の声を発する。ハイネは眉を顰め、祈るように目を閉じている。
「……ニルさん。事情が変わりました。貴女の魔眼、貴女が望もうとも決して消し去る訳にはいかなくなりました」
眼を開き、言葉を発したハイネの瞳は銀に染まっており、魔眼の発動を意味している。
「…え……?」
「貴女の魔眼、その名は……---」
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