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「……え?」
゙自分の口から勝手に゙発せられた言葉にニルは少し動揺するが、直ぐに理解した。
「…死…神…さん?」
『当ったりー、とりあえずそこの得体の知れない奴、防音、視覚妨害結界張りなー』
「もう張ってますよ」
苦笑しながら上を指差したハイネの視線の先には、直径数センチほどの半透明の球体が浮いており、それを中心に薄い膜のようなものがハイネとニルを覆っていた。
「え…?…え?…」
『やっぱりなー……オマエ、調停者か』
急な展開に全くついていけず、目を白黒させているニルの口からはそんな姿とは不釣り合いな少し低い声が発せられる。
あたふたしていたニルだが、自らの口から発せられた言葉に反応し、思わずハイネを見詰める。
「調停…者、って……!?」
「とりあえず出てきたらどうですか?『シニガミ』さん」
『オマエ絶対性格歪んでるぞ』
ワタシの正体知ってるくせに、とぶつぶつこぼしながら声の主はニルの身体を動かし、胸の前に法術陣を描く。そして描かれた法術陣を通り抜けると、ニルの体から人型の光が現れ、光は口を--光の塊に口は見当たるはずもないが--開く。
『さて、改めて自己紹介しよう。ワタシは、【死痕】。さしずめ、゙死神゙だ』
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