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「……あの……」
暫くハイネが思考を巡らせていると、不意に後ろから消え入りそうな声がした。
「アナタは?」
ハイネが振り向くと、黒い髪の前髪部分を目元まで下ろし、オドオドした様子の少女が立っていた。
「私は……ニル=……マキュリー……です……あの……気にしないで…下さいね……?」
「?……何をです?」
ハイネは何のことか分からないと言った風に首を傾げながらそう返す。
「さっきの……ラルフの言葉と態度……です……彼、初対面の人にはいつもああなんです……そのせいで友達が少なくて……ホントは……怒ってます……よね……?」
ニルは最後の部分は恐る恐る、と言った風にハイネに尋ねたが、ハイネはフフ、と笑い、ニルを見ながら
「大丈夫ですよ。私はあの程度で怒る程子供ではないつもりですし」
そう言った。
「そう……ですか……! ありがとう……ございます……」
ハイネが怒っていないと解ったニルはパアッと顔を明るくして(前髪で目は隠れているので解りづらいが)礼を述べた。
「いえいえ、どういたしまして。
--そうだ、貴女の眼、それは魔眼ですか?」
ハイネはニコッと笑いながら返事を返し、ニルはソレを見て頬を赤らめるが、ハイネの言葉にはっとした風にフリーズする。
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