第3章『使い魔の意義』

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《お兄ちゃん物知りだね~》 「いえいえ、アナタのお父様に比べれば何てことないですよ」 ハイネはライクの頭を優しく撫でながら言う。 「召喚者とは召喚主の成長と共に強くなるもの。アナタの努力次第で直ぐに最上位まで強くなりますよ」 ハイネはニルにそう言って微笑みかけると、召喚陣に向かって歩いていった。 《…黒と白…》 ライクのそんな呟きを誰にも聞こえず、ライクは再び眠りについた。 「…あまり目立ちたくはないんですが…仕方ない… 我こそ原始の力を携えし世界の調停者なり…されど我が望むは戦友(トモ)と成りし者なり… 我が呼び声に答え、ここに顕現せよ…『召喚』!」 ハイネは誰にも聞こえないほど小さな声で詠唱し、魔力を注ぐ。 召喚陣から黒と白の光が迸った瞬間、ハイネの意識は躯から消え、別の空間に在った。 黒と白に塗りつぶされた空間。 所々では黒と白が交わり灰となり、果てしなく続くかと思うほどの空間の壁にソレは"縫い付けられて"いた。 瞼すら糸で縫われ、躯には魔力を吸収する鎖が、そして両手両足には杭が打たれ、そこだけが異質な朱に染まっていた。 《だ…れだ……まだ…私を…》 空間に響いたのは悲しみや嬉しさではなく怨み。
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