第3章『使い魔の意義』

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男は叫びかけるが、ハイネに口を塞がれたことによって遮られ、冷や汗をダラダラと流しながらハイネを見る。 「はぁ…俺はここでは正体隠してるから叫ぶな。…久しぶりに特訓して欲しいなら別だが…?」 ハイネはまだ笑顔を顔に張り付けたままだが、ドスの利いた声で言い、男はブンブンとちぎれんばかりに首を横に振った。 「よし、俺はハイネだ。お前にはアーデンベルクとしか名乗っていなかったからな。そう呼べ。ていうか呼ばなかったら殺(ヤ)る…」 「わかりました…あ、俺はディック=ロレールっス」 「変なしゃべり方をするな気持ち悪い…」 「ひどっ!?」 ディックは自己紹介したが一蹴されたので落ち込んでいたが、サキ達が入ってきたので普段通りを装った。 「どうしたんですか皆さん?」 「何を話してたんだ?」 ハイネは扉が開く寸前から瞳を紅に戻し、纏う雰囲気も元に戻っていた。 「只の世間話ですよ。先輩とは少し顔見知りでしたので…」 (あそこまで劇的に変わるともはや変身の類だな…実は人間じゃなかったりして…) 「なにか言いましたか先輩?」 「い、いや、なんでもない!」 ディックが不穏なことを考えていると聞いていたかのようにハイネが返したので慌てて首をぶんぶんと振った。
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