第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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使い魔召喚の授業から二週間、少しずつ気温は高くなり、日差しも強くなってきていた。 「今日はギルドで簡単な任務をしてきてもらいます」 始まりはアニエスの一言だった。 この二週間で、模擬戦は授業で数回あったものの、ギルドでの任務は殆どの生徒はしたことがなく、生徒は期待に満ちた目でアニエスの次の言葉を待った。 「今からそれぞれグループを作って固まってください」 その言葉にすぐさま生徒は立ち上がり、ハイネ、ミーシャ、アル、ニル、レーナ、ルーカスの元に群がる。 「なぁ?何で俺とフィンの周りには誰もいないんだ…?」 「知らん…」 ラルフとフィンは教室の隅で自分たちのギルドカードを弄り、落ち込んでいた。 カードにはどちらもCと書かれていた。 「すみません。もう決まっていますから」 「すまない。もう決まってるんだ」 「ごめん。もう決まってるから」 「あの…ごめん…なさい…もう決まって…るの」 ハイネ、ミーシャ、アル、ニルはそれぞれ断ると集まり、ラルフとフィンの元に近寄った。 「何をしているんですか?」 ハイネが未だに教室の隅でいじけている二人に問いかけると、ラルフとフィンは一瞬で立ち直り、なんでもない、と言った。
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