第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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「…?ならいいです。アニエス教諭にメンバーを伝えなければいけませんからラルフ、行ってきてください」 「はぁ!?何で俺が!?」 ハイネは急に立ち直った二人に少し驚いたが、直ぐに平静を取り戻してラルフに言った。 「…気にしたら負けです。さぁ」 「それ絶対ェお前が行くのめんどくさいからだろ!」 ハイネは一瞬言葉を詰まらせるが、何でもないように言い、ラルフも直ぐに反論する。 「何をしているんだ二人共、もう任務の紙は貰ったぞ」 ハイネとラルフはその後も行く、行かないの話をしていたが、ミーシャの声に議論を止めた。 「任務は何ですか?」 「私達はCランクの依頼だ。内容は『ユグノー森林に出現した蛮族トロルの討伐』だそうだ」 「ユグノー森林?…また随分遠いですね…どうやって行くんですか?」 ユグノー森林とはハイネ達のいる学園から西に数百キロ行ったところにある広大な森林だ。 主にウルフやユグノー(森林の名の元にもなった体長30センチ程の小さな妖精で人間とは昔から深い交流を持つ)が住む森だが、度々トロルが出没して森林を荒らすため、ユグノーからギルドに依頼がくるのだ。 「そういえば、どうやって行くんだろうか?」 「俺が送ってってやる」 ミーシャが首を傾げていると、教室にアランが入ってきてそう言った。
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