第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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「ガルンっていったら、この間学園の要注意魔獣として習った魔獣じゃないか!!」 ミーシャの呟きにアルが叫ぶように反応し、その声に反応したガルンはハイネ達の方へ走ってくる。 そのスピードは実戦に慣れていないミーシャ達が反応できる速さではなく、瞬く間に距離を詰められてしまう。 《グルァァァァァァ!!!》 (ッ!?速いッ!ガードも間に合わない!!) スピードに乗った状態でガルンは咆哮を上げながらハルバードを近くにいたフィンに向かって振り下ろし、フィンは恐怖に眼を閉じるが、高い金属音と共にガルンのハルバードは何かに阻まれる。 「フィン!皆さんも森の入り口に向かって走って下さい!!そしてアラン教諭を!!」 ハルバードを防いだのハイネで、白桜でハルバードを受け止めながらミーシャ達に叫ぶ。 「なら魔術で合図を…」 「ダメだ。ガルンは二、三体でいることが多いとも聞いた。魔術を放てばもう一体来るかもしれない」 アルは魔術を空に放とうとしたが、ミーシャに手を掴んでとめられる。 「はぁ!」 《グルァ!》 ミーシャたちが話している間にもハイネはガルンと数度刃を交え、再び均衡状態に入る。 「早く行って下さい!貴方達がアラン教諭を呼ぶのが速ければ生存率は増しま……ッ!?」 ハイネは迷っているミーシャ達に怒鳴るように言うが、ガルンに軽く吹き飛ばされ、木に衝突して咳き込む。 「ゴホッ…速く!!」 「絶対生きてろよ!!」 ハイネは咳き込みながらも再びガルンと交戦し、フィンの言葉に当然です、と答えると魔力を高める。 「縛れ!『アウゲイアス』」
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