第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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《グル…ガァァ!!》 ハイネが放ったのは闇の中級魔術。漆黒の縄がガルンを拘束する。 「今の内に!そう長くは保ちません」 ハイネの言葉に五人は頷くと全力で森の入り口に向かって走って行った。 「…やれやれ…手間のかかる奴らだ…」 ハイネはそう呟きながらガルンの拘束を解く。 《グルァァァァァ!!》 当然拘束されたことによって怒ったガルンは咆哮を上げながらハイネにハルバードを振り下ろすが、ハイネは先ほどとは比べ物にならないスピードで避けると白桜を消し、どこからか黒いナイフを取り出す。 「【無影】いくぞ…」 ハイネがそういって両手を横に振りぬくとローブの袖口から数本のナイフがガルンに向かって飛ぶ。 《ガルルァァ!!》 ガルンはそれを避けようともせずにハイネに突撃し、硬い体皮ですべてのナイフを弾き、ハルバードを振り下ろそうとするが、右手の感覚がない。 「ふむ…やはり暗器は使い勝手がいいな。 ん?どうしたデカブツ?"腕がないのが"そんなに不思議か?」 ハイネは口元を歪ませながら言い、ガルンが怯んでいるうちに後ろを向いて両手をクロスさせると、ガルンの体は断末魔の声をあげる間もなく数十の肉片に分割されていた。 「『血舞()(チマイクロガネ)』… !…はぁ…あいつ等の所にも出ていたか…生きていろよ」 ハイネは転がっていた肉片を炎で燃やし尽くして消し去ると、そう呟いて姿を消した。
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