3362人が本棚に入れています
本棚に追加
/202ページ
「……ここは…?」
ハイネがガルンを倒し、学園に帰還してから数時間が経った時、ラルフがゆっくりと眼を開けた。
「よぉ…眼が覚めたか…」
隣のベッドにはフィンが上半身だけを起こしてどこか生気の無い顔でラルフの方を向いており、フィンの向こう側では、アルが静かに読書をしているが、頬にははっきりと涙の後があった。
「ここは医務室……!…そうだ俺は…」
だんだん意識がはっきりしてきたラルフは一気に暗い表情になり、拳を握り締める。
「…勝てなかった…それどころか一撃でやられた…クソッ!!俺は…弱い…あの時ハイネと一緒に戦える力があればハイネは…ッ!!」
「はぁ…勝手に殺さないで下さい」
ラルフは悔しさにベッドを叩くが、突然聞こえてきた声に驚く。
「え…ハイネ…?」
「なんですか人を亡霊みたいに…私はちゃんと生きています」
ハイネはいつの間にか医務室の壁に背を預けて立っており、3人は唖然とする。
「お前…生きて…」
「だから私は生きています。貴方達が遭遇したガルンは2体目…1体目は私とリューで倒しました。
…それにしても、酷くやられましたね…使い魔をだしていればそこまではやられなかったでしょうが…あの状況ではね…」
ハイネはフィンの呟きにため息を一つ溢した後、無表情で三人を見、三人は始めて見るハイネの表情に気圧されて、疑問すら忘れて黙り込む。
「…悔しいですか?」
暫しの沈黙の後、ハイネは呟くように三人に問う。
最初のコメントを投稿しよう!