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「…悔しいなら…悔しいとお前が思えたなら、まだお前は強くなれる…」
「え?」
ハイネはそういって顔を上げた三人を見る。
「私が師匠に昔言われた言葉です。もっとも、私の場合ははっ倒された後でしたがね…」
ハイネは苦笑しながら言い、三人に背を向ける。
「ミーシャさんとニルさんは傷も無かったのでもう寮に帰りましたが、貴方達、特にラルフは今日一日ゆっくり休んでください。
ではまた明日、学園で逢いましょう」
そう言うとハイネは背中越しにラルフ達の眼に生気が戻ったのを見て微笑みながら医務室を後にした。
(ある意味今回の予想外の事態は良い刺激になったかもな…
しかし、あの時の魔力はまさか…お前なのか……【カケラの欠片】……いや、まさかな…)
医務室から出たハイネは早足である ある場所へと足を運びながら思考を巡らせ、唐突に足を止める。
「失礼します」
そう言って開いた扉の奥には学園長であるガヤルドと秘書であろう若い女性が静かに佇んでいた。
「何用かの?急ぎのようじゃが…」
「すみませんが二人にしてもらえないでしょうか…まだ学園長にしか話せないものですから」
ガヤルドは優しく言い、ハイネは若い女性に退室を願うが、
「無理に決まっているだろうが!」
簡単に一蹴されてしまい、ハイネは学園長に視線で助けを求める。
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