第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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「ナタリヤ、少しの間席を外してもらえるかの?」 「しかし…!」 「この者は大丈夫じゃ。儂が保障する」 ガヤルドは尚も食い下がろうとするナタリヤと呼ばれた女性を優しく諭すと、ナタリヤはしぶしぶと言った風に学園長室を出て行った。 「すみません…あまり他人には聞かれたくないものですから…」 「気にするでない…さて、用とはなにかな?」 苦笑しながら謝罪したハイネにガヤルドはからからと笑いながら返し、二人は真剣な表情になる。 「学園長は…【カケラの欠片】、という存在を知っていますか?」 「…!?…おお知っているとも…じゃがなぜ君が知っておるのじゃ?」 「…ライアン老から私の正体は聞いていますか?」 「聞いているがそれがどう関係あるのじゃ?」 「…遮断、音、範囲2m、形状半円…『ミルトカット』」 ハイネはガヤルドの問いに答えずに部屋に結界を張り、音を遮断する。 「さすがじゃな…上級結界系の詠唱破棄はともかく簡易詠唱すら不可能だと言われているのじゃがな…」
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