第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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「…正体不明とは聞いとったが…まさか【魔王】とは…」 「勿論魔界に存在する魔王とは違いますし、あくまで無理矢理訳した場合ですがね…」 頬に一筋の冷や汗を垂らすガヤルドにそう答えながらハイネは紙をしまい、次に緑の宝石のようなものを取り出す。 「魔宝石(マホウセキ)… これはこの大きさなら僅かにですが魔獣に力を与えるだけの石… そしてこの魔宝石の原石【ミルトフレアス】は世界各地に点在する未発見、または未調査の遺跡や秘境などに存在し、魔獣に力を与える そして我々ギルドは【ミルトフレアス】を超古代に存在したであろう魔王の力の残滓【カケラ】と呼ぶ…」 ハイネは魔宝石を闇で消し去りながら言い、質問は無いかという風にガヤルドに視線をやる。 「大体は理解した。じゃが、なぜギルドXランク、SSランクの中で一番新人の筈のお主が【カケラ】の正体…魔王の力の残滓などと知っておるのじゃ?殆どのギルド員は魔獣に力を与える危険な石、という程度しかしらないであろうに… そして5年前の発見は既に殆どの人から忘れ去られていると言うのになぜお主は知っておるのじゃ…?」 「それは… 『■■■■■』…つまり魔王らしき存在に封印を施したのは当時11歳の私と、私の師匠、エルヴェ=アーデンベルクだからです」
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