第4章『一つの涙と小さな覚悟』

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学園長室に沈黙が流れる。 「そ…それは本当なのかの?」 ガヤルドがやっと搾り出したのがそんな言葉だ。 「ええ本当です…さて、一番重要な部分に入りたかったんですが、来客のようです」 ハイネはそう言いながら結界を解き、扉を開く。 「…ガヤルド、緊急事態だ」 そう言いながら入ってきたのはギルドエルハ支部(煌きの翼)のギルドマスターである銀髪の男。鋭い銀眼の奥には焦りが見え隠れし、どうやら本当に緊急らしく、扉の近くのハイネに気づいていないようだ。 「どうしたのじゃロイ、君が慌てるなど珍しい…」 「ここから西方向50キロ地点に400万近くの魔獣の群れを確認した…」 「400万!?」 「ああ。幸い討伐ランクはD、Cに数万程度のBランクなんだが、なにしろ数が多すぎる…今ウチにいたメンバーで応戦に向かったが、それでも全然足りん。お前の学園からSランクの生徒を応援に、それ以外はで万が一の時のために闘技場に非難を願いたい」 ロイ、と呼ばれたギルドマスターはここで初めてハイネの存在に気づき、心中で驚愕する。 「(いくら急いでいたとはいえ、この俺が気づかないとは…)…君、名は?」 「…ハイネ=アーデンベルクです。ギルドマスター、ロイ=バートンさん」 「アーデンベルク…?まさか君はエルヴェの息子か!?」
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