3362人が本棚に入れています
本棚に追加
「凍れ『氷牢』」
ブリューナクを少女の体から抜いたアランは少女に突き刺さった氷槍を利用して少女を凍らせ、ハイネのほうに振り返った。
この間、僅か1分。あまりの速さに生徒、教員、ガヤルドまでもが唖然としている。
「…っにしても、やっぱ血はでねぇか…」
「…そうですね」
「捕縛完了、か?」
「ええ。恐らくは」
ハイネとアランは互いに簡単な言葉を交わし、眼を見開いたまま固まっている少女をギルド本部に転移させようとしたが、何か違和感を感じ、身構える。
「ふ、ふ…ふふふふふふふふふふふふふふふふふ…あはははははははは!!!」
突如、体中を氷槍に貫かれ、眼の光さえ失っていた少女が、氷を、ハイネの捕縛魔術すら破壊して狂ったように笑い始めた。
「ーー…ははは…は…。
やはりこの程度では相手にならんか…」
笑いを止めた少女は俯き、そう呟く。その声は先ほどのハスキーな声とは違い、地の底から響くような低い声。
「……此方へ来い《調停者》…再び会いまみえようではないか…」
「まさか、貴方は既に…」
「…フ…待っておるぞ」
ハイネは何かに気づいたように少女を見るが、少女は低い声で一度笑うと風景に溶けるように姿を消してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!