第6章『魔王と英雄と過去』

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ハイネの言葉にアイラ、セリナの二人は水晶に右手をつけ、目を閉じる。 そしてハイネも後方、遺跡の入り口から聞こえる爆音に少しの不安を感じながらも水晶に右手をつく。 「彼の者を縛りしは三の理! 一に我が命以外に解けることなかれ 二に三の呪の文を司らぬ者に触れられることなかれ 三にこの場より動くことなかれ… 絶対制約!『ディバイス・ゼクナルス』!」 ハイネ、アイラ、セリナの腕に、蒼、紅、琥珀の光が灯り、それぞれが文字となって腕に刻み込まれ、溶けるように消えた。 封印が終了した蒼い水晶は一回り大きくなるが、静かに宙に浮いていた。 「……グッ…!!」 瞬間、遺跡の奥からエルヴェがうめき声をあげながら飛ばされてきた。 「『水泡』」 ハイネはエルヴェを大きな水の泡で受け止めると、手に双剣を召喚する。 《…少々遅かったか…"シン"は封印されたか…》 暗闇の奥に一対の光る眼が出現し、徐々にその姿を現す。 「…暴走した…欠片…お前はここで滅す…!」 《…おっと、流石に調停者の居る場で一戦交えるのは…な》 いつの間にか紅い大剣で切りかかったアイラの斬撃を交わして、月明かりに照らされたその姿は大蛇。毒々しい紫の鱗に深紅の瞳をもつ体長数メートルの蛇だ。 そしてソレは言葉を切ると共に躯を蒼の粒子に分解していく。 「まさか…!?」 《…我はシンの闇。我がシンに還るなら貴様の封印も意味を成さん…。精々封印を速く解くことだな!フハハハハ!!》 ハイネは何かに気づいたかのように双剣を5メートル程の魔鎖に変化させ、蛇を捕らえようと放つが、鎖は空を掴むだけで既に蛇は水晶に侵入してしまった。
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