第6章『魔王と英雄と過去』

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遺跡大陸【ガブリエル】。大陸というよりは巨大な島のような島の最東端。かつてハイネとエルヴェ、アイラとセリナが封印を施した遺跡にハイネは転移で現れ、すぐさま右手に【天地創世(ハジマリトオワリ)】を一本の朱刀の形で召喚し、左手に《エリア=ティンカー》を持った。 「(やはり結界に綻びが生まれている)…障ヲ乖離ス星ノ生命(エリア=ティンカー)、発動。 空間指定……無効化完了。 構成魔力……分解、回帰完了…」 ハイネがエリア=ティンカーを遺跡を半円形に覆う結界に向かって振り降ろすと、結界は粒子のようになって分解され、粒子はハイネの体に吸収された。 「魔力制御第30位封印解除。肉体制約半解放」 轟、とハイネの周りに突風が吹き荒れ、更にハイネの髪が金色に変わり、背に三対六枚の黒と白の翼が出現した。 「リューディア」 「何?」 ハイネはリューディアを召喚すると、自分の額に右手を当て、リューディアの額に左手を当てる。 「…これは…!?」 「俺の記憶だ。流石に全ては見せられないが、ある程度今からすることは判ったな?」 どうやら今の行為でハイネは記憶をリューディアに分けたようで、リューディアはハイネの言葉に黙って頷く。 ーーー… 遺跡内部、祭壇の在った場所ではアイラとセリナが5年前と変わらない姿のまま紅と琥珀の結晶の中で眠っており、その奥にある蒼い水晶には幾つもの亀裂が入っており、今にも砕けそうだ。 《…ククク…開く…もうすぐ…”シン”…貴様は……--》 不気味な声と共に蒼の水晶の亀裂は拡がり、亀裂からは漆黒の瘴気が漏れ出し、邪悪な雰囲気を出している。 そして水晶が割れようとした刹那 黒と白の二枚の羽が舞い落ちた。
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