過去

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学校も始まり大会当日、教室に忘れ物を取るため顔を出す。 担任の軽い嫌みを受け流し、教室を出る。 朝の騒がしい学校。 教室に入ろうとする真奈美とすれ違う。 「大会でしょ?怪我、気を付けてね。」 ありがと、と言うと僕は会場へ急ぐ。 真奈美が何か言いかける。 どした?と聞くと何でもない、がんばって、と笑顔をくれる。 大会も終わり受験勉強への重い腰をようやく上げる。 真奈美とは学祭以来、一緒に帰っていた。 受験を控え、おもしろいことがないクラスはそんな二人の話題が出る。 確かに真奈美を意識しているのは確かだった。 好きという気持ちもあっただろう。 しかし、受験で離れてしまうこともお互いに知っていたし、そんなうわさ話は気持ちを押し殺す要因にもなった。 ちらほらと雪が舞うようになったある日、帰りに喫茶店に誘われる。 店にはサラリーマンや女子高生がいる。 はやりの音楽が会話のじゃまにならない程度に流れている。 会話は残りが少なくなった学校のこと、不安な進路のこと、いつもと何ら変わらない会話。 真奈美は東北の大学、僕は北海道の大学。 何気ない会話でお互いが離れることになることを再確認する。 俺は真奈美から借りる約束をしていた本を借り、同じく約束していたCDを貸す。 そしていつも通りにお互い家路につく。 僕は勉強の合間に休憩がてらCDをかけて、本を読む。 真奈美がこんな恋愛がしたいと言っていた、離ればなれになっての付き合い続けるストーリー。 いつのまにかCDは止まっていた。 何となくその内容が気になった。 それを気のせいだと言い聞かせ数日がたった。
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