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「じゃあお兄さん達と外で遊びましょうねー」
懐かしい黒板と小さな机
見慣れたグランドのブランコと鉄棒
僕が通った、そして今現在お隣さん家の有香が通っている小学校は
近所の高校からほど近く、毎年小学研修というものを行っているらしい
僕の班は2年3組
有香は2組だった
「お兄ちゃんサッカーしよー!」
子供たちの明るさは大人や僕らのそれを圧倒する
もみくちゃにされながらボールを追っかけては子供たちに追いかけられ
泥だらけになりながら笑った
大人気ないほど真剣に遊んで、子供たちを見送ってから帰路についた
そういえば、有香を見てないなと思いながら
その日の帰り道は、どこか土の濡れる香りがした
お隣さんとは仲が良く、両親の留守がちな僕の面倒を良く見てくれる
「有香と何かあった?」
その日も惣菜をおすそわけに来たお隣さんに、開口一番に聞かれた
「いえ、特になかったと思いますけど…」
恐らく僕の上にははてなマークが飛んでいただろう
「そうよねぇ。有香ったらね、「お兄ちゃんが取られた!」ってずっといじけてるのよ」
私もよく分からないのだけれど
首をかしげながらそう言ったお隣さんに
「今日、有香の学校に研修に行ったんですよ」
僕は一応話しておくべきだと思った
「でも、有香のクラスは僕のとこじゃなくて、結局一回も会ってないんですけど」
それを聞いたお隣さんは少しだけ間の抜けた顔をして
いきなり吹き出した
くすぐったい顔で僕を見ながら
「そっかそっか。他の子と遊んだんだ」
そう言う間にもやはり顔は笑っていた
「ええ、まあ」
何がなんだか分からなかった
「多分ね」
少しだけ顔を戻したお隣さんが続けた
「『お兄ちゃん』が他の子と遊んでてやきもちやいたんでしょ」
そこまで言ってまたにやにや
なるほど
いつもお兄ちゃんお兄ちゃんと慕ってくれるからこそ余計に
「取られた」と感じるのかもしれない
「…明日有香に謝っておきます」
僕の顔も自然と笑っていた
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