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言った後、恥ずかしくて俯くと楓がこっちに走って来る音がして、ゆっくり顔を上げた。
『……聞こえなかったからもう1回言って?』
「えっ!?もう1回!?」
あんな恥ずかしい言葉をまた言えと!?無理無理っ!!!
私が何も言えないでいると楓はみるみる笑顔になった。
『嘘、聞こえた』
「う、嘘っ!?」
『嬉しくてもう1回聞きたくて意地悪しちゃった。ゴメンね?』
萌えーっっ!!!
鼻血が出そうなのを我慢しながら、楓の顔から視線をずらすと体がびしょ濡れだと言う事に気付いた。もちろん私も。
「ひとまず家入ろ?」
『だね。四葉が濡れちゃったし』
いや、貴方の方が濡れてます。
そんなツッコミを心の中でして、家に入ろうとくるっと体を半回転させた。
―――…ぐいっ
「わっ…!!」
私の体は宙に浮き、目の前に自分の膝が見えた。……私、お姫さま抱っこされてる!?!?
『裸足だから危ない』
顔を上げると意外に楓の顔が近くて慌てて胸の方に視線をそらした。
「お、重いから…!」
『俺より軽い』
もがこうとしたけど楓に"ちょっとだけ我慢してね"と言われたから、今回だけは素直に受け入れる事にした。
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