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*姫side*
『たつるー帰るよ』
私はミュールを履きながら、まだ寝呆けてるたつるを呼んだ。
『待ってっ』
『置いてくよ』
私は早々とミュールを履くと四葉の家を出た。
2人っきりにしてやらなきゃね。昨夜は邪魔しちゃったし。
邪魔したくはなかったけど、たつると2人ってのも最近嫌っていうか恥ずかしいというか…なんか、ね。
四葉の家を出ると太陽が迎えてくれた。私の後ろを小走りでたつるがついてくる。
『ね、俺お腹空いた。何か食べて帰ろーよ』
『んー…私お腹空いてないし、遠慮する』
『そっかぁ…。了解』
たつるの気持ちには薄々気付いてる。…薄々って言うか、完璧に。
だけど、まだ一歩踏み出せない。元彼に言われた一言が頭を離れない。
"お前は強いから1人で大丈夫"
そんな事ないのに。いつも強気な態度でいるせいかそんな風に見えてしまったみたい。
ホントは甘えたい。
強くなんかないんだよ。強がってるだけなのに元彼はそれにも気付いてくれなかった。
たつるにそんな事言われたらきっと立ち直れない。だから、踏み出せない。
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