誕生日パーティー

20/25
前へ
/326ページ
次へ
『四葉、見過ぎ…。俺、今めっちゃ恥ずかしいんだから』 そう言った楓をよくよく見ると少し赤いような気がする。 「か、楓もドキドキしてる?」 手を繋いでない方の手で楓の頬を触った。その瞬間楓の肩が少し上がった。 あぁ、今が冬なら寒いって言いながら抱きつけるのに…なんて出来もしない事を考えてた。 ふと楓の照れたような泣きそうな何とも言えない顔が目に入って、私は急に恥ずかしくなった。 「あ、…頬っぺた触ってもドキドキしてるか分からないよね」 そう言って、頬から手を離そうとした。 ―――…ぐいっ 『こうすれば分かる?』 出会った日と同じように楓は私の手を掴み、自分の胸へと導いた。 手から伝わってくる心臓の音。 だけど、早い方なのかどうなのかよく分からなかった。 『………四葉』 だって、不意に塞がれた唇の方に神経が集中してしまったから…。
/326ページ

最初のコメントを投稿しよう!

238人が本棚に入れています
本棚に追加