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『俺が犬なら四葉は猫だね』
自信満々に楓が言う。
「何で猫?」
私は軽く眉間にしわを寄せた。
『ふらふら寄ってきたかと思ったら、ふらふら離れていったりして……目が離せない』
繋いだ手にまた力が入り、ドキッと心臓が跳ねる。ドキドキをまぎらわせる為に私は次の言葉を探した。
「…気分屋って事?」
『いい意味でね』
「楓は人懐こすぎるから詐欺師に気を付けなきゃね」
"大丈夫だしっ!"と鼻息を荒くして言う楓を見て私はクスッと笑った。
車に乗り込み、私の家を目指す。
車の中で何を話す訳でもなく、だけど沈黙は嫌じゃなかった。むしろ心地いいような感じがした。
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