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『…よ……は………四葉っ!』
ビクッとなり、周りを見渡す。
花火はもう終わっていて、人がぞろぞろと帰っていた。
『四葉、どうしたの?ボーッとしちゃって』
ミサが不思議そうに私を覗き込んできた。
『え…いや…、あれ?だいし君は?』
さっきまで話していたはずのだいし君の姿が見えない。
『だいしなら帰ったよ』
優君がそう答えた。
「そっ、か……」
もっと深く聞いとけば良かった。ホントにメールなのか、相手は誰なのか…。
俯き私は小さくため息をついた。
『そんなにだいしが気になる?』
顔を上げると不機嫌そうな楓の顔が飛び込んできた。
「や…ちょっと…」
さっきの話を聞いたばかりで、私はすぐに楓から目をそらした。
『まだ追い掛ければ追い付くかもよ?電話してみようか?』
「いや……いい…」
私は首を横に振った。
『…はっきり言えばいいじゃん。だいしがいいって』
「はっ?」
私は思わず楓を見た。
楓は冷たい目で私を見ていた。
今までに見た事ない顔だった。
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