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『四葉…』
ミサが心配して駆け寄ってきた。
「…ゴメン、せっかく花火見に来たのに」
精一杯笑ったはずなのにミサの顔は心配そうなままだった。
『追い掛けなくていいの?』
追い掛けても、楓に何を言えばいいか分からない。
どんな言葉も言い訳に聞こえそうな気がして…。
『でも、追い掛けないまま終わるよりずっといいんじゃない?』
終わる?私と楓が?
何もまだ始まってもいないのに?
『大丈夫、すぐに追い付くよ』
「…うん」
そうだよ、追い掛けないで後悔するより、追い掛けて後悔する方がずっといい。
楓が向かった方向へ走った。
途中優君に会い、"今、橋渡ってると思う"と真上にかかった橋を指差された。
私は簡単にお礼を言うとヒールで猛ダッシュした。
川原を駆け上がり、橋を半分くらい渡った所で楓を見つけた。
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