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『よ、四葉!?』
楓は上半身だけを起こし、痛かったのか今にも溢れそうな涙を目に溜めながら私を見た。
「だ、だって……!」
――…私は一緒にいたいのに楓が帰ろうとするから。
『…蹴りたくなるくらい嫌だったんでしょ。ゴメンね?』
そう言って楓は立ち上がった。
そして、玄関のドアを開けた。
……外は大雨だった。
早く違うって言わなきゃ!
言わなきゃ……!
――…ザァー!!!!
「ち、違うよ…!」
私の言葉は雨の音によってかき消され、楓には届かなかった。
パタンッとドアが閉まる音がして、私は靴も履かず慌てて楓を追いかけて外に飛び出した。
「か、楓っ…!」
数メートル先にいる楓に向かって思い切り叫んだ。楓が振り向く。
雨が私の体を濡らす。だけど冷たいなんて感じる事もないくらい私の体温は急上昇した。
「一緒にいたいんだってば!!」
力の限り叫んだ。
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