ロリコン男とアンドロイド

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  最近は雑誌の取材や写真撮影、煩わしい事だらけ。有名になるというのもめんどくさいものだ。 1人壁にもたれて、ひたすら時間が過ぎるのを待っていると、また、たすくを見つけて近寄って来る男がいた。 シワのあるスーツに剃り残したひげ。何だか気が合いそうだと思った。 「初めまして、吉良さん。この度はおめでとうございます。」 「はあ、どうも。」 色白で貧弱な男は、例によって名刺を差し出す。たすくはそれを受け取った。 ――○△研究所、田中 平太。研究所…? 「吉良さん、人間国宝になって多忙かと思いまして、お手伝いさんなんかいたら便利じゃないですか?」 「そりゃあ、まあ…。でも、俺は人間嫌いだしな。お手伝いなんて、四六時中他人といるなんて、考えられねえ。」 「それは知ってます。人嫌いで有名ですからね。だから誰も来ない山中の家で、1人焼き物を作ってらっしゃるんですよね。」 「知ってるなら…、」 「ところが!僕の言ってるお手伝いさんとは人間じゃあないんです。」
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