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「お願いしますぅぅう~!!このままじゃ、僕、破産してしまうんです!心中するしかなくなるんです!人助けと思って、どうかお願いしますぅぅう!!」
半ベソで泣きつく田中の声があまりにも大きく、周りの視線が痛い。
「ちょ…、何をあんた…、」
「お願いしますぅぅう!!無料で試して、いらなかったら返品できますからぁぁあ!!お願いしますぅぅう!!」
「わ、わかった!分かったから!」
どんどん大きくなる田中の叫び声に、周囲の怪訝な視線。たすくは耐えきれずに了承した。
続いてサインをするよう泣きつかれ、規約を書いた用紙に名前を書きなぐる。するとどうだろう。
「さすが吉良さん!まいど~!」
田中は突然笑顔になると、軽快に話し出した。
さっきのは何だったんだ!
「いやあ、本当にどうなる事かと思いましたよ!研究資金もとっくになくなったし、最近はまともな食事もできなくて、河川敷の草なんか食べてたんですよ!やっと希望が見えてきた!
1ヶ月は無料ですが、そっから先は購入して頂きますからね。いや、絶対に気に入りますよ。自信があるんです。」
「じゃあ、何で今まで売れなかったんだ?」
う、と小声で漏らして、田中はまた悲しそうな目をした。
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