ロリコン男とアンドロイド

5/55
前へ
/105ページ
次へ
  「お願いしますぅぅう~!!このままじゃ、僕、破産してしまうんです!心中するしかなくなるんです!人助けと思って、どうかお願いしますぅぅう!!」 半ベソで泣きつく田中の声があまりにも大きく、周りの視線が痛い。 「ちょ…、何をあんた…、」 「お願いしますぅぅう!!無料で試して、いらなかったら返品できますからぁぁあ!!お願いしますぅぅう!!」 「わ、わかった!分かったから!」 どんどん大きくなる田中の叫び声に、周囲の怪訝な視線。たすくは耐えきれずに了承した。 続いてサインをするよう泣きつかれ、規約を書いた用紙に名前を書きなぐる。するとどうだろう。 「さすが吉良さん!まいど~!」 田中は突然笑顔になると、軽快に話し出した。 さっきのは何だったんだ! 「いやあ、本当にどうなる事かと思いましたよ!研究資金もとっくになくなったし、最近はまともな食事もできなくて、河川敷の草なんか食べてたんですよ!やっと希望が見えてきた! 1ヶ月は無料ですが、そっから先は購入して頂きますからね。いや、絶対に気に入りますよ。自信があるんです。」 「じゃあ、何で今まで売れなかったんだ?」 う、と小声で漏らして、田中はまた悲しそうな目をした。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

171人が本棚に入れています
本棚に追加