106人が本棚に入れています
本棚に追加
ハジマリノウタ
「誰だ、お前は?」
銀髪の少女が問い掛ける。
真っ赤な瞳で睨み付けながら。
触れれば切れそうな少女だった。
誰も近寄る事を許さない、そんな雰囲気を少女は身体中から発していた。
「お前か、最近のボヤ騒ぎの犯人は…」
私の問いに少女は燃えるように赤い瞳を更に鋭くさせた。
まるで、今にも襲ってきそうな気配を感じる。
少女は明らかに苛ついていた。
苛つくから火をつける。
放火魔にはよくありがちな話だ。
炎を見れば落ち着くだの、何かが燃えているのを見れば、ストレス解消になるだの、迷惑千万だ。
こんな少女にこれ以上罪を重ねさせる訳にはいかない。
「お前がまだ火をつけるというのなら私は力ずくでやめさせるぞ」
少女はニヤリと笑った。
まるで『出来るものならやってみろよ』と言わんばかりに。
最初のコメントを投稿しよう!