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講堂には既に人が沢山いた。
しかし生徒だけ、保護者はいないのだ。
指定された席に美咲は座る。
時間になりステージに貫禄のあるお爺さんが立つ。
「桜校へようこそ。
我が校は生徒会に学校運営の権限がある特殊な学校だ。
なにかあれば生徒会に相談するといい」
渋く迫力のある声で校長らしき人がそう告げると、クラスごとに担任が引率して二階へ。
二階は主にクラスが存在する。
二組は階段を上り右に向かい、突き当たりから二番目。
階段のようになって一番下に黒板がある造りの教室。
氏名に従った名簿で席に着く美咲。
担任の女教師は肩より少し長いストレートの髪、背が高くスタイルのいい背格好で、スーツにミニスカート、タイツにハイヒール姿である。
「静かに、まずは自己紹介だね。
先生は関 望。(せき のぞみ)だからね」
名前をふりがなと共に黒板に書き出す関先生。
そして名簿の始めから自己紹介をさせる。
(もうすぐ私だ。
おたくって言ったほうがいいかな?)
出番が近づくにつれ緊張を隠せない美咲。
そしていよいよ美咲の順番
「私は神楽坂美咲です。
是非仲良くして下さい」
無難に挨拶を終わらせた美咲。
ひそひそと美咲を可愛いと褒める噂も聞こえる。
美咲は一人の生徒の目に留まった。
「あたしは飛燕 翼(ひえん つばさ)。
よろしく」
クールに決めたその少女は、先程美咲がぶつかった生徒だった。
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