スタート

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「どうよあの二人、可愛くね?」 「俺は興味ないね」 爽やか短髪イケメンクール君の池 裕二(いけ ゆうじ)が、女子の注目を浴びながら取り巻きや友達と足を組ながら冷静に見ていた。 ハスキーボイスの関先生。 46人のクラスを制する。 「今日は授業がない。 各自部活を選ぶように。 特別な理由の申し出がない限り強制だからね。 今週は体験期間だから、好きなのを見て回りな。 いいねみんな」 関先生は部活動届けを配って解散とした。 イケてるグループが集まる。 (漫画研究部とかアニメ制作部とかあるかな) 美咲がワクワクしながら翼のもとへ。 「ねぇどうす--」 「よし、陸上部に決定だよ美咲」 「……え?」 「だから陸上部。 問題ある?」 勝手に美咲の部活は陸上部に決定。 美咲は運動も勉強も好きではないが得意なので、たいていの部活動になら対応できるので問題はない。 しかし趣味を楽しみたいのが人間の……いや、年頃の女の子の性である。 教室の後ろではヲタグループが 「アニメ制作部行かない? 京都○ニメーションスタッフの指導あり、漫画研究部とコラボレーションだってー」 という声が。 (ああ……私の楽園さらば) 陸上部に入る美咲。 大丈夫だろうか。 美咲のスタートラインは、急展開で既に心はゴールテープを切っていた。
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