村上隼人 決

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  「七海にこの絵を贈るのは不可能だと思いまして、デジカメで撮影してプリントアウトしたものがあります。本物には劣りますが、手紙に入れてあげてくださいな」  そう言って藤沢さんが写真を手渡してくれた。全体図と、顔の部分がアップになっているものと二枚。 「隼人、顔赤いぞ?」 「きっと七海のドレス姿に見惚れてるんですよぅ」  図星だったので話題を反らす事にした。 「藤沢さん、石岡さんの住所教えてくれないかな。これは直接送りたいから」 「了解であります。メールで送りますから、村上先輩は今の気持ちをすぐに手紙にしたためてください!」 「二人とも本当にありがとう。それじゃ、また明日ね」 「はいよ!」 「また明日!」  慎重に写真を持って、家に戻った。こんなに高揚した気持ちで手紙を書くのは初めてだ。  さっき書いた便箋はゴミ箱へ入れて、また新しい便箋を出した。  
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