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手紙を書いたら何かが吹っ切れた気がした。
今日は月曜日。恐怖のバレンタインデーだ。朝の待ち伏せは嫌だから、かなり早目に家を出た。
学校についてから勇樹はずっと小さな箱を持っている。藤沢さんから貰った手作りチョコに顔が緩みっぱなしだ。
俺はチョコレートやプレゼントを持って群がってくる女の子たちを迎え撃った。
「悪いけど好きな子がいるから、君たちからは貰えない。ごめんね」
本当の事を言えるのって気持ちいい。
「まさかだけど、村上君の好きな人って竹内七海?」
「そうだよ」
「人殺しですよ!」
「あんな殺人鬼のどこがいいんですか?」
「私たちは絶対に認めません!」
喚く人だかりに揉まれてムッとする。
「俺が誰を好きになろうが、君たちには関係ないだろう? それに好きな人の事を悪く言われるのは不愉快なんだ。もう二度と俺に関わらないでほしいな」
ファンクラブと称する生徒たちに背を向けて、教室へ向かう。途中で何度も声をかけられたけれど、気持ちは少しも揺らがなかった。
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