村上隼人 変

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   クラスに入ると自分の机の上に大きな段ボール箱が置いてあった。 「おはよー、隼人」 「相変わらずモテるねぇ。今年は最後だからいつもより多いぜ」  井上たちが中を物色しながら話しかけてきた。 「困ったなぁ。今年は誰からも貰わないって決めたんだけど」 「え? どういう心境の変化よ?」 「好きな人ができたから」 「それって例の竹内サン?」 「うん」 「お前、変わったな。前より好感度アップしてんぞ!」  井上は笑顔で言った。 「よし、チョコの件は俺に任せなさい」  段ボール箱の蓋の部分に黒マジックでデカデカと『村上へのプレゼントはこちらへどうぞ。ただし村上は受け取りません。ゴメンね☆』と書いて、それを廊下に出した。 「これで俺たちがチョコ食っても文句ないよなー」 「全部責任持って片付けてよ」 「任せとけ!」  今日は極力動かないようにして、放課後は素早く帰る事にした。  
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