村上隼人 変

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  「勇樹、今日は早目に帰るよ」 「分かったー。マンション前の追っかけに気をつけて」 「……それも決着つけなきゃね」  そっと呟いて席についた。教科書を出そうと机に手を入れたら違和感……。みっちりと隙間なく、包装されたプレゼントが詰まっていた。  これはクラスの女子たちかな。匿名のものばかりだった。  毎年バレンタインの日は、里姉が専用のバッグを持たせてくれていた。そのバッグに机の中のプレゼントを入れる。それから少し大きな声を出して頭を下げた。 「プレゼントくれた人、ありがとう。俺は好きな人がいるから、今年は受け取れません。申し訳ないけど放課後になったら持っていってください」  酷いこと言ってるよね。一生懸命作ってくれた子もいるだろうに。 「やっぱり村上君変わったよね」 「何があったか知らないけど、前より格好良くなってんの」 「村上君を変えたのは、その好きな子なんだよね」 「竹内七海さん、だっけ」  
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