村上隼人 変

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   ドキっとした。さっきみたいに竹内さんの事を言われたら、袋の中身をばら蒔きそうだ。でも、それは杞憂に終わった。 「私は村上君を応援するよ。ファンクラブの連中にビシッと言ってたの男らしかった!」 「見た見た、あいつらの顔ったらなかったよ」 「私も応援するー。だから、それは千里さんにあげてー」 「あ、私のも!」 「千里さんってあんなに食べるのに何でスタイルいいの?」  里姉、クラスの女子はいい奴ばかりだったよ。 「ありがとう。きっちり里姉に渡すからね」  机の横にかけたバッグはずしりと重かった。  今まで、うわべだけの会話と愛想笑いで生きてました。俺は周りをしっかり見ていなかった、知識ばかりのガキでした。  竹内さんはこんな俺の事もお見通しだったんだろうな。竹内さんに釣り合う男になれるように頑張ります。  心の穴が少し塞がったような気がした。  
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