竹内七海 進

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   毎朝の日課はパソコンに向かいながら朝食を食べることだった。毎日狂いなく7:00ちょうどにサイト画面に映される、『死にたい』の一文。  それを眺めると、なんとも形容しがたい感情に包まれる。  平安、愛慕、興奮、憎悪、嫉妬、憤怒。  そんな感情が全部混ざり合ったような、奇妙な感覚。その感覚は日によって弱くなったり強くなったりする。  学校までは徒歩で20分。駅にも近いし、大きなショッピングモールもある。見つけてくれた石岡さんに本当に感謝しなくてはいけない。  成績はクラスで常に三位以内。それがアルバイトをさせて貰える条件だった。授業を真面目に聞いていれば成績は下がらないから問題なし。  放課後は新体操部で、身体全体を使って汗を流す。新体操は気が紛れる上に役に立つ。一石二鳥の部活だった。 『そんなに忙しくてたら勿体無いぞ! 二度とない花の女子高生を謳歌したまえよ。素敵な恋愛とやらも待ってるかもしれないし!』  加奈にそう言われた事があったけど、私はとにかく身体を動かしていたかったから、このサイクルに満足していた。  
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