竹内七海 進

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   金木犀があちこちで香り始めた頃、体育大会が終わった。それまで少しせわしなかった放課後が、元通りになる。 「七海(ななみ)、お疲れ様! ドーナッツ食べに行こ!」  いつもの様に部活を終えて帰る支度をしていたら、加奈が声を掛けてきた。 「今日はバイトないから、いいよー。ってか、またこんな遅くまで残ってたの? 相変わらず村上先輩の追っかけ?」 「いやいや、あたしは追っかけに非ず! 純粋な美人鑑賞ですから! 成績優秀、眉目秀麗、おまけに運動神経も抜群な村上生徒会長を観察するのが趣味な訳。 文芸部に入ったのだって、部室が図書室で生徒会室がよく見えるからなのだよ? 七海も体育大会の時にリレーのアンカーでごぼう抜きした勇姿見たでしょ? ゴールした時の汗がまたなんとも……」  加奈は近視用眼鏡を押し上げながら思い出し笑いをしていた。少し変な趣味だけど、まぁその仕草も可愛いからいいかな。 「追っかけじゃなくてストーカー? そんなに近くで見てたの? でも実は加奈に聞きたかったんだよね、村上先輩のこと。ぶっちゃけ私も興味持ったんだ」  
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