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男は薄暗い路地から雑踏をじっと見つめていた。サラリーマン、OL、高校生、水商売、老若男女問わず多くの人々が男の目の前を行き交う。
「ねぇ、ある?」
話しかけてきたのは16歳くらいの制服姿の少女だった。男は無言で路地の奥を顎でしゃくった。
「葉っぱ(コカイン、大麻の葉)エクスタシー(MDMA)チョコ(大麻樹脂)スピード(覚せい剤)なんでもある」
「スピード」
「ワンパケ、イチゴ」
少女は1万5千円を取り出して男に差し出した。男はそれを受け取ると素早くポケットの中から白い粉の入った小さな包みを手渡し…
「ほ~。昼間っからシャブか」
男と少女の背後から別の男の声が響く。振り返ると同時に男の鼻柱に拳がめり込んだ。吹っ飛ぶ男。小さな悲鳴を上げる少女。
「俺のシマでシャブ売るとはいい度胸してるじゃねぇか」
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