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パタン。
部屋の扉が閉まる音がした。同時に、実友は目を開け
「バカだなぁ。実成は。」
ボソッと呟く。
「……?」
呟いてから
(何言ってんだ、俺…。)
ここは、「なにすんだ!」とか「止めろ!」とかの場面なはず。
(でも今…)
実友が思ったことは。
(キス、して欲しかった?)
「……。」
「唇に…?」
(俺は、変態か?)
毎晩、実成が部屋へ来ては「おやすみ」のキスをする。
頬や、おでこに。
気付いてからは、眠りが浅くなって…彼の軽いキスの後に深い眠りに落ちるのが日常になっていた。
彼のキスがないと、熟睡できなくなったのだ。
今夜は口元へ手の平を当てられたから、驚いて一瞬目を開けてしまった。
目の前で、瞳を閉じた実成のドアップ。
ドキドキと脈打ち始める心臓。
顔に、少し長めの髪が触れるのが気持ち良くて目を閉じたのだった。
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