特異への第一歩――〝邂逅〟

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――京都―― ここは四条河原町近く、常に人が多く行き交っている。 天気は晴れだ。程よい陽射し、蒼い空に所々浮かぶ雲が乗り物みたいに見える。 鴨川の歩道に並ぶ木がピンク一色に。風が揺らし、ヒラヒラと舞い散る花びら。落ちると、その側にある花達、緑も風で歌っていた。 それら全てが季節を春だと教えてくれる。 のほほん としたそんな中、一人の青年の声が聞こえてきた。 「特異能力……イマイチパッとせえへんなぁ」 日々葵 響だ。 響は逸切に言われた事が頭に残り、少し考え込んでいた。 「第一特異能力なんて言う奴おらんやろ、普通特殊やろ。意味的に言うたら特異の方が掛け離れとるが……だから何やっちゅうねん」 響はさっきから携帯を開いてはイライラしてる。待ち合わせをしてるのだ。 いつも通り服装変わらず、外見変わらず。彼は鴨川のベンチに座っていた。 「……チッ、アイツどんだけ時間にルーズやねん! あと5分待って来(こ)うへんかったら鴨川で釣りしたる」 どうやら彼は釣りがお好きらしい。 響が見据えた先には、鯉が優雅に泳いでいた。その風貌は流石川の王者、黒の魚体に黄金色が微かに混じっている。 その太く逞しい体で発揮される凄まじいトルク、それが釣り人を魅了するのだ! ……物語に何ら関係無い。 「……………………………………………………………………………………」 響は鯉をしばらく見た後、携帯をもう一度見た。 「アカンわ~、あいつにルーズソックス履かしたらなワイの気がす・ま・ん・わぁ~……ルーズだけに」 誰もいないから、最後はきちんと自分で締める。響は几帳面だ。だがその声には力が篭っていた。相当お怒りの様子。 ――と、そこへ。 響の元へ近寄って来たのはスーツ姿の男。 「悪いっす、遅れちゃいました」 「選べや―― 響と釣りをする。 響に食べ物を奢る。 響と喧嘩する。 どれや?」 響はその男を見もせずに言った。
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