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――都心の地下施設――
最奥にある一室に、白衣を着た男と黒いスーツを着た三人の男が話し合っていた。
「当方としても、もうこれ以上はね……。進歩も結果もない研究に対しての資金は出せないのだよ」
「そんな……話っ――話しが違うじゃないか! あと一年は猶予がある筈だッ! 契約書にもそう書いてある!!」
白衣の男は急ぎ足ですぐ傍にある机の引き出しから厚みのある大きな封筒を取り出し、机にバンッと叩きつける。
だが、リーダー格であろうスーツの男は細い目でそれを一瞥しただけ。
「……わからないのかね? 見切りをつけたられたのだよ君は、上に」
「!?――」
「研究とは見込みがあって、進歩と結果があって成り立つ。今まで査定してきたが、もう分かった。君の研究にはもう意味がない」
「そんな……っ」
「そもそも何故私達がこんな研究に資金を出そうと名乗り出たか、それはあくまで利益目的の為だ。
君の夢――特異能力の発現実証。世界に特異能力を認めさせるなど出来れば世論や秩序、世界の全てはひっくり返る。
つまり、それだけの力を根っこから抑えると言う事は、我が国は――我が会社はこの星のトップ、支配者になれるからだ。
だが、それはもう水泡と帰した。君にとっては非常に残念な結果だが……」
男は右手を上げ、軽く指でパチンッと鳴らした。
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