華咲学園第二十五代生徒会

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長い、長い桜並木の坂道を蟻のようにせっせっと上がっていく高校生諸君。 それを見てると、ついついご苦労様と労いたくなる。 今は春だからまだいいのだが、これが夏や冬だったらどうなると思う。 夏ならば、炎天下の下サウナ状態のこの坂道を登ることになるが、それは過酷なサバイバルと言って、相違はないだろう。 冬ならば、寒い中の融雪や除雪整備のないこの道を登ることになるが、正直それは極寒の砂漠をただ黙々と歩く、遭難者以外の何者でもなかろう。 そもそも、こんな山の近くに高校を建てようとした時点で、失敗なのだ。 周りに何もないくせに、電車の時間も一時間に一回、バスに至っては行く場所によっては二時間に一回という、異常なまでの過疎地。 しかも、山は涼しいなんてイメージをもっている呆け者もいるらしいが、それは大きな間違いだ。 寧ろ、平野部の方が、全然涼しいのだ。 俺の通う華咲学園のある花泉町は、ここ日本の中でおそらく史上最高であろう(詳しくは知らないが)最高気温39.8℃という脅威の数字を叩き出した。 何が県内一の進学校だよ。何が規律を重んじる生徒を育てるための校則だよ。 そんなもん、糞食らえだ。 この学校へただ黙々と歩く生徒を見ているだけで、本当に嫌気がさす。 とはいえ、その中に自分が含まれているのだから、尚更歯痒いのだ。 ……つまんねぇ。高校生活がこんなつまらないものだとは思っていなかった。
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