きっかけ

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村田先輩とは挨拶くらいしか会話した記憶ないんだよな……、って言っても他の人も似たようなもんだけど。 僕は人と接するのが苦手だ。昨日までペア組んでた高橋先輩も、最初の内は話し掛けてくれてたけど、僕が相槌しか打たないから、一週間もしたら話し掛けてくれなくなって、気まずい空気のまま仕事してたっけ。 でも、ある意味チャンスかも。小説の事聞いてみたいし。 でもあの人怖いんだよな……。 僕がいつも通りのネガティブ思考を繰り広げていると、奥の通路から誰かが僕の所にやってきた。 「よぅ!えっと……高村……だっけ?今日からよろしくなっ!!」 「え……?あ……、はい。よろしくお願いします……」 声の主は言わずともわかる、先程頭の中でネガティブ思考を繰り広げさせられた張本人の村田先輩だ。 僕は口をもごもごさせながら何とか言葉を発すると、二人で仕事をする場所へと向かった。
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