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耳障りな蝉の鳴き声と、真上からの暑い日差しにうんざりしながら、ただ足を進める。
学校の制服に身を包まれたその体は、すでに耐え難い暑さを感じ、汗を吹き出して、脇や首もと、下着をむれさせる。
時刻は午後一時程だろうか。
私は学校から家への、決して長くはない帰路をたどっている。
しかし、この暑さでは、この道は延々と続いているのではないかと思わせる。
不意に、背後に気配を感じた刹那、白い軽トラが私の脇を走り抜けていった。
生暖かい風が、栗色の長い髪と、膝のあたりまでのスカートをなびかせる。
(暑いな……)
幾度も繰り返された言葉が、また脳内に現れる。
夏の高い日差しと蝉の時雨を受け、汗に体を濡らしながら、家へと向かう。
それは、誰にでも起こりうる日常。
そして、これから起きる、幾度もの邂逅もまた然り。
ありふれた日常、ありふれた出会い。
私と彼女との物語……。
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