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 また、「何故自習室にいたか?」とも考えたが、その疑問はすぐ消えた。  彼女は三年生。高校受験を控えている。  そう考えると、自習室にいても不気味ではない。むしろ、真面目な人なのだと関心した。  カラーコンタクトの件に関しては不明だが、雪のように白い肌にすらっとした顔立ちは、よくよく考えれば繊細な美しさを感じる。  私が自習を終えたとき、彼女の方を見てみると、私の持っている数学の教科書と同じもの、つまり二年生の教科書を見ていた。  復習か、と初めは思ったが、参考書も問題集も、すべて二年生向けのもの。  逆に三年生向けの教材は一つもなかった気がした。  なら、彼女は二年生なのか?  しかし、同じ学年の顔はだいたい覚えてるが、彼女に覚えはなかった。  何より、彼女の上靴にプリントされた二本のラインは赤。二年生だったら青いはずだ。ちなみに一年生は緑。彼女は三年生だ。  それ以上の詮索は、彼女が私に感づいたように思えたのでできなかった。
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