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 しかし、何故こんなにも彼女のことを気にかけるのか。  相変わらず日差しの強い帰り道を、そんなことを考えながら歩いていく。  中学一年の冬、私はこの街へ引っ越してきた。  私は、新しい環境に慣れようとせず、友人といえる者も作ろうとせず、部活も人間関係が面倒で、二年になってからやめてしまった。  それは、孤独を演じてかっこつけたいとか、他人が怖いとか、そんなつまらない感情ではなかった。  ただ、他の人間に興味を持てなかった。  そんな私が、何故今更?  彼女に会いたい?  彼女と友達になりたい? ――まさかね。  一筋の汗が額を伝い、鼻の先で止まる。  暑さにやられたのかもしれない。  帽子などつけていないから、日射病になってもおかしくないはず。  私は、道を挟んだ先にあるコンビニを見つけ、そこに寄ることにした。  お腹もすいたし、幸いいくらかお金を持ち合わせていた。  アイスでも買おう。
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