序章

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4月 木村にとって2年目の坂神高校での生活が始まる。 1年目はあっという間だった。 担任のクラスを持ったわけでもなく、将棋部の活動も顧問として支えながら、気づけば一年が過ぎていた。 2年目の入学式は雨。 木村は喫煙室で自分の左足を見つめながらタバコを吸い始める。 しばらくして歴史担当の大沢が入ってきた。 「せっかくの入学式だというのに雨ですか。木村先生も初めてクラスを受け持つというのに、ツイテないですね~」 「いえいえ、私にはこういう方がお似合いかもしれません」 白い煙をはきながら木村はそう言う。 「ほう………。痛みますか?…雨の日は?」 「そうですね…でもこうしてタバコでも吸っていると落ち着きますね」 そう言ってまた白い煙をはく。 「そうですか…とりあえず、今日は頑張りましょうかね」 「ははは、大袈裟な。ただの入学式ですよ」 そう…ただの入学式だ。 将棋部には何人入るかな… バドミントン部は……… いや、やめておこう。
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