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「え?」
木村はしばらく言葉が出なかった。
何もバドの話はしてない。バド部の顧問とも言ってない。
間違いなくこの2人は昔の木村のことを知っていた。
木村もそれを悟る。
「えっと……俺はバドミントン部の顧問じゃなくて将棋部の顧問だよ。バドミントン部の顧問なら田口先生だよ」
2人のうちの傍ら、寝ぐせを少し残し、目の大きな内田翔は木村の発言には動じず、
「そうなんですか。別にいいですよ顧問じゃなくても。バドおしえてほしいんです」
と、平然と言う。
もう一人、優しそうな顔をした春日智樹も続いた。
「俺たちインターハイいきたいんですよ」
木村は困る。
(なんなんだいきなり、顧問じゃなくてもいいって……インターハイって………なんで…)
「なんで…」
「?」
「なんで…坂神高校なんだ?インターハイにいきたいならもっと強い高校があるだろ」
「木村先生がいるからですよ」
また内田は平然と言う。
「はあ!?何を言ってるんだ。…………俺はもうバドはしてないし、する気もないんだ」
「バドをしてない?嘘つかないでくださいよ、あれほどバド強かった人が…」
春日が話すのを、木村は遮る。
「やめてくれ。昔の俺にこだわるな。いいか?俺はバドをするつもりはない」
そういってすぐに木村はすぐにその場を去ってしまった。
「おいトモ、木村先生って2人いないよな?」
「あの人で間違いないよ、昔の面影もある。もうバドしてないなんて信じられない。いったい何があったんだろ」
春日は軽く戸惑った。
内田は軽く不機嫌になっていた。
「俺はあの人におしえてもらえねえんなら転校するぞ」
「まあまあ、とりあえずバド部見に行こうよ」
「………ああ」
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