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「……ん?」
男は振り向いて、笑みを浮かべ此方に向かって来た。
かくばった顔つきに蓄えられた髭。
人が良さそうな雰囲気だが、僕は少しこの人に嫌悪感を覚える。
「おお! 神子様。始めまして、ミリアの父のクウィスと言います。以後お見知りおきを」
……ミリアのお父さん。
言っちゃ悪いけど、似てるところが一つも無い。
ミリアは金髪のふわっとした感じだけど、クウィスは黒髪のがっちりした感じ。
何処をどうとったら、親子になるんだか……
ミリアは母親似なのかな?
「は、はあ。此方こそ」
僕は、彼の勢いに苦笑いをして、彼と握手した。
「神子様。そろそろお食事にしませんか? 神子様も屋敷の探索をして、お腹が空いていることでしょう」
探索していた事、どうしてこの人が知ってるんだ……?
心の中に僅かな疑念がわき上がり、スペースを取った。
窓の外を見ると、夕焼けが差し込んできている。
そういえば、さっきお腹が少し鳴ったっけ……
しかし、お腹は空いているけど、彼らと食べる気にならない。
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